知らないと損?節税の基本と注意点|税理士に相談するタイミングとは

会社経営者や個人事業主の方にとって、「節税」は非常に関心の高いテーマではないでしょうか。適切に行えば手元に残るキャッシュを増やし、経営の安定化につながる可能性があります。しかし、節税の方法や考え方を間違えると、かえってペナルティを課せられるリスクも潜んでいます。

この記事では、節税の基本的な考え方、注意すべき点、そして専門家である税理士に相談すべきタイミングについて分かりやすく解説します。

そもそも「節税」とは?基本的な考え方

節税とは、法律で認められた範囲内で、納めるべき税金の額を適正に少なくするための対策を行うことです。重要なのは「合法的な範囲内で行う」という点です。

よく「脱税」と混同されがちですが、脱税は売上を隠したり、架空の経費を計上したりするなど、法律に違反して税金を免れようとする行為であり、犯罪です。一方、節税は税法のルールを正しく理解し、利用できる制度を活用して納税額を抑える正当な行為です。

節税の基本は、「無駄な税金を払わない」という視点を持つことです。使える控除や経費計上のルールをしっかり理解し、活用していくことが第一歩となります。

節税の具体例と注意点

ここでは、一般的な節税の考え方と具体例、そして注意点をいくつかご紹介します。

  1. 経費を漏れなく計上する事業を行うためにかかった費用は、基本的に経費として計上できます。消耗品費、交通費、通信費、広告宣伝費など、漏れなく計上することが節税の基本です。
    • 注意点: 事業とプライベートの両方で使っている費用(家賃、光熱費、通信費など)は、家事按分といって事業で使用した割合分のみを経費にする必要があります。また、交際費などは計上できる金額に上限がある場合があるので注意が必要です。領収書やレシートは必ず保管しましょう。
  2. 各種控除制度を活用する所得税や法人税には、様々な控除制度が設けられています。所得控除(生命保険料控除、医療費控除、iDeCoなど)や税額控除(住宅ローン控除など)を最大限活用することで、納税額を抑えることができます。
    • 注意点: 利用できる控除は個人の状況や法人の形態によって異なります。自分や自社がどの控除を利用できるか、制度の内容をよく確認する必要があります。
  3. 青色申告を選択する(個人事業主・法人)青色申告を選択すると、最大65万円(または55万円、10万円)の青色申告特別控除や、赤字の繰り越し、家族への給与を経費にできる(青色事業専従者給与)など、多くの税制上のメリットがあります。
    • 注意点: 青色申告を行うには、事前に税務署への届け出が必要です。また、複式簿記による記帳が原則となるため、白色申告よりも手間がかかります。
  4. 法人化を検討する(個人事業主)所得が一定額を超えると、個人事業主よりも法人の方が税率が低くなる場合があります。また、役員報酬を経費にできたり、退職金制度を活用できたりするメリットもあります。
    • 注意点: 法人化には設立費用や維持コスト(社会保険料負担増など)がかかります。単純な税率比較だけでなく、総合的なメリット・デメリットを検討する必要があります。

やってはいけない「節税」- 脱税のリスク

節税を意識するあまり、やってはいけない行為に手を出してしまうケースがあります。以下のような行為は「脱税」とみなされ、重いペナルティ(延滞税、過少申告加算税、重加算税など)が課せられるだけでなく、悪質な場合は刑事罰の対象にもなり得ます。

  • 売上の一部を隠蔽する、除外する
  • 架空の経費を計上する
  • 個人的な支出を事業の経費として計上する
  • 在庫を過少に申告する

「これくらいならバレないだろう」という安易な考えは非常に危険です。税務署は様々な情報を収集・分析しており、不正は見抜かれる可能性が高いと考えましょう。

税理士に相談するメリット

「どの節税策が自社に合っているかわからない」「自分でやるのは不安だ」「最新の税法についていけない」と感じる方も多いでしょう。そんな時に頼りになるのが税理士です。

税理士に相談する主なメリットは以下の通りです。

  • 専門知識に基づいた最適なアドバイス: 自社の状況に合わせた合法的な節税策を提案してもらえます。
  • 最新の税法に対応: 頻繁に改正される税法に対応した的確なアドバイスが受けられます。
  • 記帳や申告の手間削減: 面倒な経理業務や申告業務を代行してもらうことで、本業に集中できます。
  • 税務調査への対応: 万が一、税務調査が入った場合にも、専門家として適切な対応をしてもらえます。
  • 経営相談: 税務・会計の視点から、資金繰りや経営改善に関するアドバイスを受けられる場合もあります。

税理士に相談すべきタイミングとは?

では、具体的にどのようなタイミングで税理士に相談するのが良いのでしょうか。以下のようなケースが考えられます。

  • 起業・会社設立を考えたとき: 設立手続き、事業計画、最適な法人形態、融資相談など、初期段階から相談することでスムーズなスタートが切れます。
  • 売上や利益が大きく変動したとき: 納税額予測や、利益に応じた節税対策を検討する良い機会です。
  • 新しい事業や設備投資を始めるとき: 税制優遇措置の活用や、資金計画について相談できます。
  • 税制改正があったとき: 自社への影響や、必要な対応について確認できます。
  • 確定申告や決算が近づき、不安があるとき: 申告内容のチェックや、正しい申告手続きのサポートを受けられます。
  • 相続や事業承継を考え始めたとき: 早期から計画的に対策を進めることが重要です。
  • 税務調査の連絡があったとき: 事前準備から当日の立ち会いまで、専門的なサポートが不可欠です。
  • 顧問税理士がいない、または変更を考えているとき: 自社の成長ステージやニーズに合った税理士を探すタイミングです。

適切な節税対策や税務に関する悩みは、やはり専門家である税理士に相談するのが一番確実です。税理士は最新の税法知識を持ち、個々の状況に合わせた最適なアドバイスを提供してくれます。

信頼できる税理士を探す際には、その事務所のウェブサイトでサービス内容や専門分野、料金体系などを確認することが第一歩となるでしょう。各種税務相談や経営サポートに関する情報収集には、専門家の公式サイトが役立ちます。

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まとめ

節税は、法律の範囲内で賢く行うことで、経営にプラスの効果をもたらします。しかし、知識不足や誤った判断は大きなリスクにつながりかねません。

まずは節税の基本を理解し、利用できる制度がないか確認してみましょう。そして、複雑な判断が必要な場合や、より効果的な対策を打ちたい場合には、迷わず税理士への相談を検討することをおすすめします。専門家の力を借りて、健全な財務体質を目指しましょう。